「パッションフルーツの落果が追熟に及ぼす影響」
パッションフルーツは地域によって仕立て方が異なり,
着果位置も異なる. 鹿児島県で一般的な生垣仕立てや,
小笠原で一般的な棚仕立てでは約180cmの高さに着果させる.
一方, 沖縄県で一般的なつり下げ型垣根整枝では90cm前後の高さに着果させる.
果実は成熟すると, これらの高さから落果する.
収穫された果実は10日ほどの追熟期間を経て酸が低下して食味が向上するが,
高さ180cmから落下した果実ではその後の酸の低下が進まないことが知られている
. しかし, 着果位置の低い沖縄県でのつり下げ型垣根整枝での90cm前後からの落果の影響は明らかにされていなかった.そこで,
昨年は高さ180cmと90cmから果実を落下させ, 追熟後の果実品質を比較したところ、果実を180cmまたは90cmの高さから落下させると収穫後の酸度の低下が進まず糖含量の低下が進むため、果実品質が低下することがわかった。
本年度は、落下距離0cm、30cm、60cm、90cm、180cmとし、品質低下が起こらない落下距離を明らかにしたい。品質については、酸度や糖度に加え、香りや棚持ち期間を調べる予定である。また、収穫後の果実生理の指標である呼吸量・エチレン生成量を調べる予定である。
今回のセミナーでは、今年度の実験計画の詳細について発表する。